28 巻 (1991) 5 号 p. 664-667
糖尿病患者における大動脈脈波伝達速度 (以下PWV) に影響する因子につき検討し以下の結果を得た.
(1) 糖尿病患者40例を治療法別に分けて検討するとコントロール不良例ではPWVは高値傾向で特に経口血糖降下剤投与群では他の群に比して有意に高値だった. 経口剤投与群の内でも虚血性心疾患を有する例でPWVは特に高値であった.
(2) 網膜症を有する群 (特に Scott I~III) では網膜症を有しない群に比してPWVは高値傾向だった.
(3) PWVは年齢, 収縮期血圧, 尿中微量アルブミンとの間に有意の正相関を示した.
(4) 尿中アルブミン指数により30mg/g・Cr以下 (Normoalbuminuria 群) と30~300mg/g・Cr (Microalbuminuria 群) に分けてみると年齢差はないがPWVは後者で高く虚血性変化や網膜症を有する例も高頻度に認め腎症のPWVへの関与が示唆された.
以上よりPWVは糖尿病におけるマクロ, ミクロアンギオパチーともに関連性があるものと考えられた.