日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
慢性喫煙の局所脳血流量におよぼす影響
脳血管障害の危険因子との関係
井坂 吉成飯地 理芦田 敬一今泉 昌利
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29 巻 (1992) 10 号 p. 735-741

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抄録

慢性喫煙の局所脳血流量におよぼす影響を無症候例40例において, 脳血管障害の危険因子と局所脳血流量に影響を与える因子をあわせて検討した. 133Xe静注法により, 左右前頭葉, 頭頂葉, 側頭葉, 大脳半球, 全脳における平均血流量を測定した. 局所脳血流量と比較した変量は, 喫煙経験の有無, smoking index, 年齢, 性別, 平均血圧, 総コレステロール, 空腹時血糖, ヘマトクリット, 心電図における左室肥大, STT変化の有無である. 慢性喫煙群 (n=20) では, 非喫煙群 (n=20) と比較して, 男性のしめる割合が女性よりも多かった (p<0.01). ヘマトクリットは喫煙群において非喫煙群よりも有意に高かった (p<0.01). 全年齢間の比較では, 局所脳血流量は両群間において有意差を認めなかったが, 70歳以上の症例では喫煙群にて有意の局所脳血流量の低下を認めた. 単相関では, smoking index は, 全脳血流量 (r=-0.33; p<0.05), 右大脳半球血流量 (r=-0.34; p<0.05), 右頭頂葉血流量 (r=-0.36; p<0.05), 右後頭葉血流量 (r=-0.34; p<0.05), 左頭頂葉血流量 (r=-0.33; p<0.05) と負の相関を示した. 他の変量では, 年齢, 男性, ヘマトクリット, 左室肥大, STT変化が局所脳血流量と負の相関を示した. 重回帰分析では, 年齢とヘマトクリットが局所脳血流量と独立した負の相関を示す部位が多かったが, smoling index は局所脳血流量と独立した相関を示さなかった. 慢性喫煙例の局所脳血流量低下の要因として, 加齢, ヘマトクリット上昇, 心電図変化がもっとも重要であるが, これらの危険因子の発現と喫煙の相互関係についてはさらに検討を要する.

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