日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
左脚中隔枝ブロックの診断基準とその頻度
森 博愛小林 総一郎毛利 三郎
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 29 巻 4 号 p. 293-297

詳細
抄録

左脚分枝ブロックの1型である左脚中隔枝ブロックの際には, 横断面QRS軸の方向が変化し, QRS波前方成分が増大する. 健常例のV1, 2のQRS波計測値に基づき, 下記のような左脚中隔枝ブロックの心電図診断基準を設定した.
(1) 右室肥大, 完全右脚ブロック, WPW症候群 (A型), 高位後壁梗塞, 肥大型心筋症, 心臓長軸周りの著しい反時針式回転を起こすような胸郭ないし胸郭内異常を除外する.
(2) 次の2項目の内, 何れか1つを満たす.
(1) V1のR/S>2, かつRV1≧5mm, (2) V2のR/S>2, かつRV2≧15mmまたはSV2<5mm
高年者を主対象とする病院の全入院患者における本所見の頻度は3.5%で, 左脚前枝ブロック, 完全右脚ブロックより少ないが, 完全左脚ブロック, 両脚ブロックよりも多く, 高年者の異常心電図所見の1つとして注意を払う必要がある.

著者関連情報
© 社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top