29 巻 (1992) 9 号 p. 661-666
老年者高血圧例10例, 正常血圧者10例に食事負荷, 経口糖負荷, 水負荷試験を行い, 血圧, 脈拍数の変化および体液性因子の変化について検討した.
1. 食事負荷試験後, 高血圧患者では食前収縮期血圧と食後収縮期血圧の較差が-12.0±4.1mmHgで正常血圧者の+4.0±3.2mmHgに比して有意に大であった.
2. 食後血圧の時間的経過では食後30, 45, 60分後において食前に比し有意の血圧下降を示したが, 正常血圧者では食後血圧変化はみられなかった.
3. 食事前後の血圧較差は糖負荷試験前後の血圧較差と有意の相関が認められたが, 水負荷時の血圧変動との相関はみられなかった. 食後低血圧の発現には糖摂取が重要であることが示された.
4. 食事負荷, 糖負荷いずれにおいても正常血圧群では負荷後PNE, PRAの上昇が認められたのに対し, 高血圧群では有意の変化がみられなかった. また食事前後の収縮期血圧の変化とPRAの変化は有意な相関を示した.
以上のことから老年者高血圧群における交感神経系の障害の存在が食後低血圧の病因に関与している可能性が示唆された.