日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢者血栓性血小板減少性紫斑病の1例
児玉 光司城 忠文藤原 康史桑原 大志川田 浩之原 裕二松原 渉濱田 範子野本 良一
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30 巻 (1993) 2 号 p. 130-137

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抄録

症例は発熱と指南力低下を主訴に入院した78歳の女性である. これらの症状に加え, 血液検査上, 分裂赤血球を伴う溶血性貧血 (血色素量11.1g/dl, LDH 2,977WU, 総ビリルビン3.5mg/dl, うち間接型2.7mg/dl), 高度な血小板減少 (8,000/μl), 及び腎機能障害 (血清クレアチニン4.7mg/dl) を認めたことより, 血栓性血小板減少性紫斑病と診断した. 第2病日, 全身痙攣が起きた後, 急激に意識レベルが低下し半昏睡となったため, アスピリン80mg/日とジピリダモール300mg/日による抗血小板療法に加えて新鮮凍結血漿で血漿交換を開始した. しかしながら, 第3病日には痙攣重積状態となり, そのために用いた大量の抗痙攣薬によって呼吸抑制をきたした結果, 人工呼吸器の装着による調節呼吸を余儀なくさせられた. 血漿交換は12回施行し, 新鮮凍結血漿は合計375単位 (1回25~50単位) 使用した. また, 濃厚赤血球も合計9単位輸血した. 痙攣に関しては第5病日以降は消失し, その後, 抗痙攣薬を漸減して第17病日には人工呼吸器から離脱できた. 血小板数は第5病日より増加し, 第7病日には正常化した. また, 貧血が完全に良くなったのは第20病日以降であるが, 間接ビリルビン値は第10病日には正常化し, さらに, 血清クレアチニン値も第10病日には正常化した. 後遺症として, 軽度の右上肢麻痺と神経因性膀胱があり, 頭部CT検査上, 多発性の小低吸収域を認めたが, リハビリテーションにより次第に軽快した. また, 長期間の臥床のためと思われる下肢静脈血栓症とそれによる下腿の浮腫もみられたが, ワーファリン投与にて改善した. 血栓性血小板減少性紫斑病の再燃予防のため, アスピリンとジピリダモールの併用療法を継続しているが, 現在のところ再発はない.

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