日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老年者高血圧に対する Nifedipine ならびに Enalapril 投与の自律神経系におよぼす影響
心拍変動パワースペクトル解析による検討
岡林 旬子松林 公蔵佐藤 隆幸小澤 利男
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31 巻 (1994) 4 号 p. 285-292

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抄録

本態性高血圧患者39例 (41~87歳: 63±11歳) を2群にわけ, Ca拮抗薬 (nifedipine 10~20mg; N群=20名) とACE阻害薬 (enalapril 5mg; E群: 19名) 投与の自律神経系におよぼす影響を, 心拍変動パワースペクトルを用いて解析し, 体液性因子の関連についても比較検討した. 3カ月の薬剤投与によって, 両群ともに血圧は有意に低下したが, N群では薬剤投与後, 血漿ノルアドレナリンの有意の上昇と共に, 心交感神経活動の定量的指標とされる低周波成分の有意な増大が認められた. また, 心副交感神経活動の定量的指標とされる高周波成分の有意な減少を認めた. このため nifedipine 投与群20例中12例にβ遮断薬 (atenolol 12.5mg) の追加投与を1カ月行ったところ, 併用前に比べて低周波成分は有意に減少し, 高周波成分は有意に増大した.
一方, E群では, 血漿ノルアドレナリンは投与前後で有意差は見られず, パワースペクトルでも低周波成分の軽度減少を認めたが, 高周波成分の有意な変化は見られなかった. 以上よりCa拮抗薬服用時には, 血圧は低下しているが, 心交感神経活動の増強および心副交感神経活動の低下が示唆された. また, β遮断薬の少量併用により, この交感・副交感神経バランスの改善が認められた. これに対してACE阻害薬服用時では, 血圧の低下と共に心交感神経活動の軽度の抑制傾向を認めたのみで, 自律神経機能の著明な変化は認められなかった. これらの結果より, 老年者高血圧に対する降圧薬の選択に際しては, 降圧効果以外にも心自律神経系への影響を考慮する必要があり, 特にCa拮抗薬長期投与に関する影響については, 今後の慎重な検討を要すると考えられた.

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