日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
老人性痴呆疾患センターにおける疫学調査
痴呆の予後とその関連要因
植木 昭紀三好 功峰藤田 宏史真城 英孝中島 貴也岩崎 滋徳三和 千徳北村 恵美子大原 一幸武田 敏伸松村 裕古橋 淳夫守田 嘉男橘高 通泰
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 32 巻 10 号 p. 656-663

詳細
抄録
兵庫県老人性痴呆疾患センターに来所する痴呆患者は軽症のものが多く痴呆の初期から長期にわたる追跡調査が可能である. このセンターで平成2年2月から平成5年11月までに鑑別診断を受けた120名の痴呆患者について平成6年11月に追跡調査し, 在宅生活を送っている患者群と身体疾患の発症や増悪によって死亡した患者群に分類し, 鑑別診断時の精神的, 身体的機能状態を示す指標の中で予後に影響する要因を比較検討した. 死亡に至る要因は発症年齢が高いこと, 知的機能障害に運動機能障害, 貧血, 低蛋白血症, 大脳萎縮や白質病変を伴うことであった. 痴呆の予後に影響する因子として知的機能障害に加え身体機能障害が重要であることを示唆した.
著者関連情報
© 社団法人 日本老年医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top