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日本老年医学会雑誌
Vol. 35 (1998) No. 7 P 530-534

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http://doi.org/10.3143/geriatrics.35.530


京都府北部のK町の一般健康調査の一環として, 痴呆症の有病率を調べた. 65歳以上の在宅老人 (3,269人, 全町民の25.3%, 1994年) を対象にアンケート調査を実施した. 2,280人が神経内科医による診察に同意し, 回答を寄せた (回答率69.7%). アンケートの回答内容を分析し, (1)痴呆の疑いがある者435人, (2)痴呆の疑いがない者1,845人を得た. (1)は全員, (2)は1,845人中無作為抽出で100人を選び神経内科専門医の診察を勧めた. 痴呆の有無についてはDSM-III-Rを, アルツハイマー型老年痴呆 (SDAT) の診断にはアルツハイマー病の診断基準である NINCDS-ADRDA を便宜上用い, 血管性痴呆 (VaD) との鑑別には Hachinski Ischemic Score (HIS) を用いた.
(1)からは106人が受診に応じ, そのうちの12人 (11.32%) が痴呆と診断された. (2)からは92人が受診し3人 (3.26%) が痴呆と診断された. したがってこの町の痴呆症患者数の推定は, (1)から435人の11.32%, 49.2人, (2)から1,845人の3.26%, 60.1人の合計109.3人となった. したがって痴呆の有病率は4.8% (109.3/2,280=0.048) と推定された. 痴呆と診断された15人のHISは7点以上が3人, 6点が1人, 2点以下が11人であった. すなわち15人中11人 (73%) が non-vascular Dementia と考えられ, その多くがSDATと推定された. 最近わが国でもSDATが増えつつあるとの報告が散見されるが, まだ圧倒的にVaDが多い. 本研究ではSDATが多いという結果が出たが, 未受診者の中にVaDが含まれていた可能性は否定できない. 高齢化が急速に進みつつあるわが国では, 高齢者, 特に痴呆症患者への支援と介護が大きな社会的, 医療経済的問題である. 適正な医療・福祉政策の立案のためにも正確なデータが必要であり, 今後も調査研究を進める予定である.

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