36 巻 (1999) 4 号 p. 268-273
転倒に伴う大腿骨頸部骨折の予防を目的としてヨーロッパで開発された, 大腿骨頸部骨折予防装具の特別養護老人ホーム入居者での使用上の課題を明らかにする目的で, 装着率の変化などに関する基礎的研究を行った.
対象は, 秋田県N村内にある特別養護老人ホーム入居者10人 (男性2人, 女性8人; 平均年齢85.7歳) である. 対象者を軟質製のフィンランド製装具装着グループと, 硬質製のデンマーク製装具装着グループに5人ずつに分け, それぞれ2個ずつ配布した. 装着後1週間目から4週間目まで毎週, Hip Protector の装着状況, 転倒に関する聞き取り調査を行った.
入居者での Hip Protector 装着の4週間の継続率はフィンランド製で40%, デンマーク製で20%と低くなっていたが, 1週目でほとんど穿いていた人は, 全員4週目まで, ほとんど穿いていた. 脱落群と継続装着群との比較では, 対象者数が少なかったためもあり, 要因に有意差は認めなかった. 穿かなかった理由は,トイレでパンツの上げ下ろしが面倒, 上げ下ろしが出来ない, 違和感があるなどであった. 日本の環境に適合し, 日本人の体形にあった製品の開発により装着率は改善可能であると思われる.
今後, 身体的, 精神的に問題を抱えた高齢の入居者に対しては, 装着に関するきめ細かい指導と Hip Protector の改良も必要と考えられた.