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日本老年医学会雑誌
Vol. 37 (2000) No. 10 P 772-776

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http://doi.org/10.3143/geriatrics.37.772


レビー小体を伴う痴呆 (Dementia with Lewy bodies, DLB) は, 変性性痴呆の中でアルツハイマー病に次いで多い疾患であり, DLBという包括的疾患名と臨床診断基準が提唱されてから急速に認知されるようになった. DLBは臨床的に, 病理学的に, また遺伝子的にアルツハイマー病およびパーキンソン病と重なる部分があるが, DLBは脳幹と大脳皮質におけるレビー小体の存在が必須な特徴とした疾患として理解することができる. 臨床的には, 認知障害の大きな変動, 具体的な反復する幻視, パーキンソニズムを伴う早期には重篤な記憶障害を欠く進行性の痴呆が特徴である. ここでは我々自身の一連の研究成果を中心に最近の臨床的および研究的知見を総説し, DLBの臨床的認知を進めたい. DLBの診断基準で診断を支持する所見とされている転倒や抗精神病薬に対する過敏性などの他に, 我々の研究から比較的強い視覚構成障害や視覚認知障害, 重複現象, 誤認妄想, 非失語性呼称障害を伴う一過性の意識の変化が多いことが分かった. また神経画像検査では海馬の萎縮が軽いこと, 後頭葉でブドウ糖代謝や脳循環が低下していることが特徴的であった. DLBの正しい診断は, 適切な治療を行うため, 重篤な抗精導病薬の副作用を避けるため, および正確に予後を判断するために重要である. ここにあげたいくつかの所見は正しい診断を行うために役立つことと考えられる. 治療的な観点からはコリンエステラーゼ阻害剤が行動異常に対していくぶん有効なように思われるが, 診断法および治療法の確立のためにはさらに精力的な研究を要する.

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