日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
高齢者に対する造血幹細胞移植
ミニトランスプラント
田中 淳司
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2001 年 38 巻 6 号 p. 754-756

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抄録
従来の同種造血幹細胞移植においては腫瘍細胞を根絶し拒絶を抑制するためにその前処置として超大量の抗癌剤投与と全身放射線照射を行ってきた. しかしこのような強力な前処置は治療関連毒性も強く, 50歳以上の高齢者などには適応にならないとされていた. しかし, 近年臓器毒性の強い薬剤の使用を最小限に抑え移植した免疫担当細胞による移植片対腫瘍細胞効果 (graft-versus-tumor/leukemia/lymphoma: GVT/GVL) を最大限に利用しようとするミニトランスプラント/骨髄非破壊的前処置を用いた同種造血幹細胞移植 (Minitransplantation/Nonmyeloablative transplantation) が提唱されてきた. この移植方法は治療薬剤の毒性や移植に関連する合併症による早期死亡を回避し高齢者にも適応の枠を拡大することのできる画期的な治療法であるとして注目されている.
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© 社団法人 日本老年医学会
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