日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
DHEAの老年病予防効果
山甲 佳彦関原 久彦
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2003 年 40 巻 5 号 p. 421-428

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抄録
副腎アンドロゲン, デヒドロエピアンドロステロン (DHEA) とDHEAサルフェートは二十歳代以降, 加齢とともに血中濃度が減少することが知られており, 老化現象との関連が注目されている. 種々の疫学調査から, 血中DHEA濃度が高いほど, 長命であり, 心疾患が少ないといった報告がなされ, 長寿に関連したホルモンと考えられている. 抗動脈硬化作用, 抗糖尿病作用, 抗骨粗鬆症作用, 痴呆・精神機能改善作用, 抗炎症作用などに関連した, 種々の臨床的, 基礎的研究が行われており, これらに対する発症予防, 進展抑制効果が示されている.
抗動脈硬化作用は, 脂質の酸化抑制と, 血管内皮や平滑筋細胞の増殖抑制からなり, 抗糖尿病作用は, インスリン抵抗性改善作用によってもたらされると考えられる. 抗骨粗鬆症作用は, 閉経後女性に対するDHEA補充療法によって示されたが, 補充されたDHEAが末梢組織中でエストロゲンに一部変換され, エストロゲン作用とアンドロゲン作用の双方によって発現していると推測される. DHEAの抗酸化作用は神経細胞においてもみられ, 酸化ストレスによって誘導されるアポトーシスを抑制することで神経細胞の傷害を防いでいると考えられている. また, いくつかの炎症性サイトカイン分泌を抑制することで抗炎症作用を発現することも実験的に示されている.
ホルモン補充療法として, 閉経後女性や副腎不全患者にDHEAを投与する試みがすでに海外を中心に始められているが, 有効性に関する一定の見解はまだ得られておらず, 長期大規模臨床試験の実施が望まれる.
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