41 巻 (2004) 5 号 p. 552-557
症例は75歳男性. 2003年3月10日頃より呼吸困難を自覚したため当院受診し, 胸部X線で右の肺炎と高度の呼吸不全を認めたため, 精査加療目的にて3月11日に入院となった. 呼吸不全に対し人工呼吸器管理を行い, 肺炎に対しては抗生剤の投与による治療を開始した. 喀痰の塗抹培養検査では有意な菌は同定されず, ペア血清による Chlamydia pneumoniae の抗体価の上昇から Chlamydia pneumoniae 肺炎と診断した. 塩酸ミノサイクリン投与にもかかわらず肺炎が遷延し, ステロイド剤を投与することで第21病日に人工呼吸器から離脱可能となった. 胸部CTでは入院時に認めた右の浸潤影は改善したものの, 両下肺野に間質性陰影が残存した. 高齢者での肺炎は, 自覚症状や他覚的所見が乏しい例を認めることがあり, その診断に苦慮する場合がある. Chlamydia pneumoniae 肺炎は多くは軽症で経過することが多いものの, 高齢者の場合, 本例のように急速に進行し呼吸管理を要することもあるため注意が必要であると考えられた.