高齢者では複数の疾患が共存することが多いが, その成立の全経過を観察できる機会は必ずしも多くない. 本報告例は50歳で高血圧, 58歳で急性心筋梗塞を発症後, 直腸癌, 腹部大動脈瘤切迫破裂を経過した後, 86歳で胸部大動脈瘤破裂で突然死するまでの全経過を観察しえたので, 剖検所見を含めて報告する. 本患者は86歳で突然死する直前まで医師として活動し, 高い quality of life を維持しており, その一因として高度の粥状硬化病変があったにもかかわらず脳の合併症がなかったことが考えられる.