2005 年 42 巻 5 号 p. 553-556
目的: 高齢者における糖尿病性腎不全の進行予測因子につき検討した. 対象と方法: 1993年9月から2000年9月までの当科の糖尿病性保存期腎不全患者のうちエンドポイントに達した93人を対象とした. 65歳以上を高齢者群 (n=42), 65歳未満を非高齢者群 (n=51) とし, 2群間の比較をおこなった. 血清クレアチニン値の2倍をエンドポイントとして, 腎不全の進行に及ぼす予測因子につき検討した. 結果: 高齢者群と非高齢者群の2群にて Kaplan-Meier 法を用いた解析をおこなったが, 腎不全の進行につき2群間に有意な差は認めなかった. Cox 比例ハザード法を用いた解析では, 単変量解析にて高齢者群で低アルブミン血症が有意な進行予測因子であった. さらに多変量解析では低アルブミン血症が有意な進行予測因子であった. 非高齢者群では低アルブミン血症は有意な進行予測因子であったものの, 多変量解析では有意な進行予測因子ではなかった. 結論: 血清アルブミン低値は年齢に関わらず, 2型糖尿病における腎不全の有意な進行予測因子と考えられるが, 高齢者群では非高齢者群に比べより強い進行予測因子と示唆された.