6 巻 (1969) 1 号 p. 91-96
動脈硬化症患者の血清脂酸構成異常については, わが国においてもすでに若干の報告がある. われわれは血清脂質を中性脂質分画 (cholesterol ester, triglyceride, NEFA) と燐脂質分画 (cephalin, lecithin, sphingomyelin 等) に分け, その脂酸構成を検討し, palmitic acid, palmitoleic acid, octadecenoic acid の増加と, linoleic acid, arachidonic acid の減少を認めた. 次に従来 oleic acid と報告されていた octadecenoic acid 分画は oleic acid (Δ9-C18:1) と cis-vaccenic acid (Δ11-C18:1) の混合物であることを証明した. さらに正常者と動脈硬化症患者における oleic acid と cis-vaccenic acid の比を検討したが, 両者の間に有意の差を認めなかった. すなわち動脈硬化症患者における octadecenoic acid の増加は oleic acid と cis-vaccenic acid のどちらか一方のみの増加によるものではなく両者の同程度の増加によるものと考えられる.