損害保険研究
Online ISSN : 2434-060X
Print ISSN : 0287-6337
<論文>
企業社会の変容と共通価値の創造
-歴史・事例による検証-
長谷川 直哉
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2014 年 76 巻 3 号 p. 1-32

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抄録

 本稿は,CSRの萌芽からM.ポーターが提唱した「共通価値の創造」に至るサステイナビリティ・マネジメントを巡る議論の変遷を俯瞰する。サステイナビリティ社会の構築を目指して多くの企業がCSRに取り組んでいるにもかかわらず,グローバル社会では環境問題や社会問題の多くが手つかずの領域として取り残されている。共通価値の創造とは,社会問題への取り組みによる社会的価値の創造と企業の経済的成長を両立させるマネジメント手法である。共通価値は決して新しい概念ではない。わが国企業も古くから共通価値の創造に取り組み成果を挙げてきた。郡是製絲と損害保険事業の事例を通じて,わが国企業の共通価値創造の実態を明らかにする。消費型社会から循環型社会へのパラダイムの変革を通じて,企業社会も質的に変容しつつある。サステイナビリティとはサバイバビリティでもあり,社会の変化に呼応して,企業は常に変革し続けなければならない。損害保険事業が創造すべき共通価値の方向性が問われている。

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