1986 年 10 巻 2 号 p. 96-104
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)によって,生体試料中のヒポキサンチン(Hx),キサンチン(X),尿酸(UA)の定量分析法の確立を意図し,好成績を得た.1)HPLCカラムよりの溶離成分を,UV検出(UVD)器と電気化学検出(ED)器で検出することにより,オキシプリン類が完全に分離する条件を決定した.2)O.2Mリン酸緩衝液中で陽極電解処理したグラシーカーボン電極を作用電極として組み込んだED器で検出すると,XとUAの高選択的高感度分析が達成できることを確認した.しかしながら,ED法ではHxの定量分析は達成できなかった.3)UVD法は,ED法に比べて,選択性と感度の点で著しく劣るが,現時点ではHxの分析をED法で達成できないので,Hx,X,UAを同時分析したい場合には適法であることが確認できた.4)UVD法により,ヒトの肝臓癌組織中のHx,X,UAの分析を試みたところ,癌組織中では正常肝組織に比べ,UAは低値を,Xは高値を示すことが分かった.