1995 年 19 巻 2 号 p. 83-92
これまでの我々の研究から,cCMP-シチジル酸シクラーゼ系が,脳神経系において重要な役割を担っている可能性が示唆されている.本研究において我々は,小脳神経細胞における本酵素活性がグリア細胞に比べ高い傾向にあることを認めた.またcCMPは,初代培養ラット小脳神経細胞に対してcAMPと同様に,神経突起形成促進作用があることを示唆する知見を得たが,抹梢の神経細胞モデルであるPC12細胞に対しては,弱い作用しか認めなかった.また,グリア細胞に対して,cAMPにみられるような形態変化誘導作用は認められなかった.今回得られた結果は,cCMPが中枢神経細胞において神経突起伸長関連因子のひとつとして,重要な役割を担っていることを示唆するものである.