痛風と核酸代謝
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定量的な運動負荷による血中乳酸、尿酸、ケトン体の変動動態に関する研究
馬渕 浩二岡島 嘉信仁科 甫啓
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2001 年 25 巻 1 号 p. 7-12

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抄録

健常なる男子大学生8名を被験者とし, 定量的に高(180W), 中(120W), 低(60W)強度の運動を行なわせ, 血中乳酸, 尿酸, ケトン体を同時に測定し, 各項目の経時変化を明確にし, 3項目間の出現変動の関連性について検討した. 運動負荷により血中乳酸は負荷直後, 尿酸が負荷1時間後に上昇することは従来の報告と同様な結果が得られた. 一方,血中ケトン体は他の2項目に比べ, 低, 中強度運動時には増加する傾向がほとんど認められず, しかも高強度時には運動後2-3時間時に著しく上昇する群と上昇しない群に大別されることが認められた. また上昇した群は上昇しない群に比べ, 血中尿酸が低値をとる傾向が見られた. これより健常者の運動に伴う高尿酸現象では血中乳酸が腎における血中尿酸の排泄阻害剤となっている可能性が示唆されるが, 血中ケトン体が血中尿酸増加の1時間後に増加していることから血中ケトン体が腎による排泄阻害剤となっている可能性は考えにくい. また, 血中ケトン体と持久力の指標である最大酸素摂取量(VO2max)との間にr=0.779と高い相関性を認め, これは高強度運動負荷3時間後の血中ケトン体濃度測定により持久力の評価が可能であることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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