痛風と核酸代謝
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有機アニオントランスポーターOAT4によるオロト酸輸送
安西 尚彦三浦 大作遠藤 仁
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2008 年 32 巻 2 号 p. 141-146

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抄録

ピリミジン合成の中間代謝体であるオロト酸は,UTPへと転換され,RNAの合成の前駆体になるだけでなく,ウリジンニリン酸グルコース(UDP-Glc)や,UDP-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)などの糖ヌクレオチドの生成に利用され,基底膜コラーゲンの糖化やプロテオグリカンの生成にも利用されるため,糖尿病性腎症での腎肥大時などの病態時にも重要な役割を果している.オロト酸の取り込みは肝臓および腎臓において認められているがその取り込みの分子機序は未だ明らかではない.オロト酸はカルボキシル基を持つアニオンであることから,有機アニオントランスポーターのOATファミリー(OATs)が関与する可能性がある.そこでヒトOATsによるオロト酸輸送を検討した.ヒト有機アニオントランスポーターOATs遺伝子を安定発現したマウス近位尿細管由来S2細胞(S2-OATs)を用いて,RI標識オロト酸の取込みを比較したところ,OAT4において著明なオロト酸の細胞内取込みを確認した.そこで以後はS2-OAT4細胞を用いてその輸送特性を検討した.S2-OAT4細胞におけるオロト酸の取込みは時間依存性,そして濃度依存性に増加し,そのKmは922μMと低親和性を示した.この取込みはステロイド硫酸,プロベネシドおよびベンズブロマロンにより高度に,またオロト酸,尿酸,サリチル酸およびPAHにより軽度に抑制された.以上の結果よりOAT4はオロト酸の細胞膜輸送を担うことが示され,オロト酸はOATファミリー新たな輸送基質の一つである可能性が示唆された.今後腎臓および肝臓におけるオロト酸取込みの分子実体の解明に向けた端緒となることが期待される.

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© 一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
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