2020 年 44 巻 1 号 p. 55-60
結晶性関節炎の診断では偏光顕微鏡による結晶の同定がゴールドスタンダードであるが本邦での実施状況は不明である.そこで2018年度に日本リウマチ学会に認定された173教育施設を対象に,関節液の鏡検の実施状況に関して実態調査を行った.
106施設(61.3%)から回答を得た.診療科は整形外科 92施設(87%),リウマチ内科 57施設(54%),内科・総合内科 13施設(12%),リウマチ外科 11施設(10%)であった.関節液の結晶同定を実施することができないと回答した施設は8施設(8%)であった.鏡検を診断に用いていた施設での実施方法は,検査科 68施設(64%),外注 35施設(33%),医師 8施設(8%)であった.院内に偏光顕微鏡があると回答した施設に電話で詳細を確認した結果,そのすべての施設で,痛風検査用アナライザ(レバー操作で90度回転できる鋭敏色板を組み込んだアナライザ)を使用していた.
本調査により本邦では偏光顕微鏡が使用されていないことが明らかとなった.本邦の結晶鏡検手順には最適化の余地が残されている可能性がある.