痛風と尿酸・核酸
Online ISSN : 2435-0095
原著 8
カナグリフロジン常用量の長期使用にて尿酸値が上昇した1例
末藤 美星嶋田 英敬古川 昇
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2020 年 44 巻 1 号 p. 75-81

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抄録

68歳女性.10年来の糖尿病でシタグリプチン(50mg),グリメピリド(1mg)内服中,高尿酸血症はなかった.カナグリフロジン(100mg)追加投与開始約7か月後より血清尿酸値が上昇しはじめ,高尿酸血症が持続し10か月後には尿中ケトン体も検出されるようになった.この間,毎日水分摂取し,尿量も十分確保されていた.これらはカナグリフロジンの中止で改善したもののトホグリフロジンの投与でも再度見られた.これに対し,カナグリフロジンを隔日投与にすることで血糖降下作用とともに尿酸,尿ケトン体の正常化を認めた.本症例では,原因は明らかではないが,GLUT2アイソフォーム2やURAT1などの移送体に何らかの作用異常があり,尿酸の再吸収が阻害された可能性が考えられた.今後,SGLT2阻害薬を使用する際,尿酸値の低下だけでなく,稀ではあるが,尿酸値の上昇する症例があることも考慮すべきである.

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© 2020 一般社団法人日本痛風・尿酸核酸学会
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