2023年7月から2024年6月までの1年間に,当院に3年以上通院している男性痛風患者3,209例を対象に糖尿病の合併率を調査した.痛風患者の364例に糖尿病が認められ,合併率は11.3%であった.糖尿病が痛風発症より前に診断されていた患者は8例(2.2%)に過ぎず,大多数の356例(97.8%)は痛風の経過中に糖尿病を発症しており,他の報告と同様の結果であった.糖尿病を合併した痛風患者でSGLT2阻害薬を使用している患者109例についてSGLT2投与前後で血清尿酸値を調べたところ,有意な変動は見られなかったが,尿酸生成抑制薬を使用している49例の患者では血清尿酸値が5.5±1.3mg/dLから5.1±1.2mg/dLに有意に低下していた.尿酸排泄促進薬を使用している60例の患者では血清尿酸値は変化が見られなかったが,その要因としてSGLT2阻害薬投与後に見られる糸球体濾過量の低下(initial dip)の関与が疑われた.SGLT2阻害薬による血清尿酸値の低下は大きなものではないが,中には尿酸降下薬の大幅な減薬を達成できた症例も存在しており,肥満者の多い痛風患者の診療において,SGLT2阻害薬は糖尿病の合併がなくても使用したい薬物の一つであると考えられた.