日本ゴム協会誌
Print ISSN : 0029-022X
極性カーボンブラックの研究
(第2報) 安定なコロイド性カーボンブラックのつくり方とその性質
大北 熊一大谷 寛井上 一雄
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1957 年 30 巻 3 号 p. 169-173

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抄録

1.ゴム補強用カーボンブラックから.コロイドカーボンをつくるには、予めカーボンブラックに酢酸を吸着させておき、過酸化水素と硫酸の混液で酸化する。あるいは、過酸化水素と硫酸の混液のみで処理してもつくれる。処理温度は、反応熱を利用して、80~100℃。反応温度が高いと、処理カーボンブラックは、コロイドとしての分散性がよい。
2.酸化処理を行つたカーボンブラックを水に分散させ、安定なコロイド状態を保たせるに必要なアンモニアは、0.1~1Nが好適である。
3.酸化処理カーボンブラックの乾燥過程は、そのコロイド的性質に著しい影響を与える。それ故に、加熱による乾燥はのぞましくない。
カーボンブラックを酸化処理後、別し、ついで、水で洗い、SO4の痕跡がなくなつた状態で、自然乾燥を行う。水分70%程度の泥状体にして保存すると、必要に応じて、これをコロイド状態に変えることが出来る。カーボンブラック中の水分が、48%以下になれば、これを乳鉢で、容易に、微細な粉末にすることが可能であるが、水に対する分散性は、水分含有率70%のものに比較して、やや劣る。
4.コロイドとしては、任意のカーボンブラック濃度のものが出来る。しかし、約0.5Nのアンモニヤを含んだ水1l中へ130g程度を分散させると、24時間以内にゲル化する。

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