日本草地学会誌
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サイレージの硝酸態窒素の消長に関する研究 : II.サイレージ埋蔵過程における硝酸態窒素の消失と発酵生産物との相互関係について
増子 孝義藁谷 信一佐谷野 利幸淡谷 恭蔵
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1980 年 26 巻 1 号 p. 74-80

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抄録
硝酸態窒素含量が比較的多い材料草を用いて埋蔵し,低品質サイレージが調製された場合に硝酸態窒素が多く消失することを認めたので,その機序を明らかにする目的で,サイレージ埋蔵過程における硝酸態窒素の消失および発酵生産物の経時的変化を調べ,その相互関係について検討した。1.硝酸含量ならびに糖添加量を変えて調製したサイレージの埋蔵過程において,いずれの試験区においても,埋蔵後3日目までは一様に硝酸態窒素の消失がみられ,それ以後,消失が抑制される傾向と,7日目から15日目にかけて,さらに高い消失を示す傾向とが認められた。2.埋蔵初期に消失がみられ,その後消失が抑制されたものは,乳酸が十分に生成され,pHは低く推移し,アンモニアの生成が少ない典型的な良質サイレージであった。3.硝酸態窒素の高い消失がみられたものは,埋蔵後7〜9日目まで乳酸の生成は増大したが,それ以後は減少した。アンモニアは3日目から急速に生成され.それと同時にpHは上昇し,酪酸の生成も多くなった。
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© 1980 著者
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