日本草地学会誌
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オーチャードグラスの雪腐小粒菌核病抵抗性
阿部 二朗松本 直幸
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1981 年 27 巻 2 号 p. 152-158

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抄録

雪腐小粒菌核病(Typhula ishikariensis,T. incarnata)に対するオーチャードグラスの抵抗性検定法を確立すると共に,品種間変異を明らかにし,越冬性との関連を考察した。幼苗検定法:10週間温室で育てた幼苗をハードニング(3℃・8時間日長・14日間)した後に,雪腐病菌のinoculumを0.05-0.1g/cm^2の密度で人工接種した。接種した植物をT. ishikariensisについては65日間,T. incarnataに対しては80日間戸外の雪中に埋めた。雪中から堀出された植物は地上部を刈取った後に,1ヵ月間温室で再生育させた後に生存率を調査した。雪腐病抵抗性と越冬性:厳寒でかつ積雪量に富む地帯の品種であるLeikund,Tammisto,Kayは,抵抗性と越冬性共に優れていた。しかし,T. incarnata抵抗性においては南欧産品種の中には抵抗性が優れた品種(Dora,Montpellier)もあり,越冬性やT. ishikariensis抵抗性との間の相関を低下せしめた。しかし,全体としてはTyphula属による雪腐病に対する抵抗性は,越冬性との間には高い相関が示され,札幌におけるオーチャードグラスの越冬に雪腐病が最も大きな影響を及ぼしていると見られる。

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© 1981 著者
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