抄録
不定胚生産性の低い1雄性不稔遺伝子型(MS)と,不定胚形成能力および不定胚生産性の異なる遺伝子型との交配後代の再分化率および不定胚生産性を調べた。不定胚生産性は,「不定胚数」,「不定胚形成の安定性」および「不定胚形成まで日数」の3形質とした。MSと不定胚形成能力の異なる4遺伝子型との交配当代では,再分化率は29から42%,不定胚生産性はMSよりも高い値を示した。さらに,これらの集団から不定胚生産性に優れる6遺伝子型を選抜し,不定胚形成能力の異なる別の2遺伝子型との交配当代の不定胚生産性を調べた。平均値で比較すると,不定胚形成能力を持つ遺伝子型との交配の場合では再分化率は77%と,不定胚形成能力を持たない場合の51%よりかなり高い値を示し,同様な傾向は不定胚生産性にもみられた。しかし,不定胚形成能を持たない遺伝子型を用いた場合でも,後代で非常に優れた不定胚生産性を示す組み合わせもみられた。