抄録
クワ(Morus sp.)と牧草(寒地型牧草5草種)との混生草地を造成し,乾物生産量,草種構成の変化,クワの生存率の変化およびクワの樹径の変化を1997年から4年間,刈取り条件下で牧草のみの草地とクワのみの栽培地と比較検討した。クワの植栽は列状植え(畝間3m,株間0.7m)であった。試験処理は1区105m^2,3反復の乱塊法で配列,刈取りは4,6,8,10,11月の年5回で,うちクワの刈取りは6,8,10月の年3回であった。クワ-牧草混生草地の牧草とクワの新梢を合わせた年間乾物生産量は,牧草地,クワのみの栽培地に比べ,それぞれ1997年13%,237%,1998年32%,192%,1999年57%,189%,2000年34%,380%の増収を示し,同混生草地は極めて高い潜在生産力があった。牧草地では経年に伴い雑草とシロクローバが増加したのに対し,混生草地では雑草が少なく植生が良好に保たれた。毎年3回刈取られたクワは,利用4年経っても高い生存率を示したが,樹径の生長が停滞し,刈取り回数を減ずる必要があると考えられる。