日本草地学会誌
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研究報告
黒毛和種母子牛の夏季放牧にともなうミヤコザサ草地の葉部現存量と家畜生産性の経年変化
坂上 清一西脇 亜也福田 栄紀
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2020 年 66 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

ミヤコザサ草地の草地および家畜生産性を明らかにする目的で,同草地を肉用繁殖牛により夏季放牧し,葉部現存量,嗜好性および家畜の体重を6年間にわたり測定した。草地内の葉部現存量は全体として年々増加した。その内訳は,ミヤコザサでは減少,草本種では微増,木本種では急増であった。出現植物種の嗜好性と,放牧牛の採食可能な高さ以下の葉部現存量とから,被食量を推定した。被食量は年次的に減少し,6年次には初年次の量の約半分まで減少すると推定された。牧養力は168-200CD/haの範囲で,母牛の体重は,8月上旬まではほぼ維持されるが,その後減少した。また,哺乳子牛の日増体量は0.6kg以上が確保され, 利用3年次までの8月上旬までであれば0.76-0.92kgと比較的高い数値を示した。夏季放牧利用では,ミヤコザサ草地は8月上旬までであれば利用6年次においても母牛を含めて一定程度の家畜生産性を有する。

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