地理学評論 Series A
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論説
近隣環境と健康関連QOL——日本版総合的社会調査を用いた分析——
埴淵 知哉中谷 友樹竹上 未紗
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2015 年 88 巻 6 号 p. 591-606

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抄録

健康を左右する一つの因子として,近隣環境への研究関心が高まっている.しかし,これまで日本を対象とした事例研究の蓄積は不十分であり,国際的にも全国的範囲を対象とした分析は限られていた.本研究では,人々が暮らす場所の近隣環境によって,健康に由来する生活の質(HRQOL)が異なるのかどうかを統計的に分析した.認知的および客観的に測定された近隣環境指標と,HRQOLの包括的尺度(SF-12)との関連性を,日本版総合的社会調査2010年版を用いたマルチレベル分析によって検討した.分析の結果,近隣環境を肯定的に評価・認知している人ほど,健康に由来する生活の質が高いという関係が明らかになった.他方で,客観的に測定された近隣環境指標はHRQOLとの独立した関連を示さず,場所と健康の間を取り結ぶ多様な作用経路が示唆された.

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© 2015 日本地理学会
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