地理学評論
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狩野川台風による東京西郊の水害の性格
菊地 光秋
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1960 年 33 巻 3 号 p. 184-189

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抄録

狩野川台風による東京地方の水害地域は,水害型と地形の上から, (A) 東部および東南部のデルタ地帯, (B) 西部の武蔵野台地上の地域に2大別される. (B) 地域はさらに3分され, (1) 武蔵野台地上に水源を持つて,台地上を貫流している白子川・石神井川・妙正寺川・桃園川・善福寺川・旧神田上水など,荒川水系の谷とその沿岸地域, (2) 排水溝幹線として利用されている灌漑用水路および元灌漑用水路の沿岸地域, (3) 武蔵野台地上に点在する窪地の湛水による浸水地域で,水路に沿つていない地域とすることができる.東京地方西部の台地上の水害では,山岳部に雨量が少なく,平野部に豪雨が集中したために,中小河川の氾濫が目立つて多く,また窪地の浸水が多かつた.東京西部の市街地における家屋密度の増大と,西部の近郊農村の住宅地域化は,近年目立つて大きくなつている.この住宅地域の拡張と,下水溝および排水路としての中小河川対策が,平行して行われていないため,豪雨の影響をうけて被害が大きかつた.東京西部の台地上における多数の浸水家屋のうち,新築住宅の被つた水害の多いのもいちじるしい特色である.

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