地理学評論
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西日本における民家間取型の地域性
杉本 尚次
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1961 年 34 巻 5 号 p. 279-294

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抄録

西日本における民家間取型の分布把握に重点をおき,生活との関連やその伝播径路さらに変化過程といつたダイナミックな面にも留意しつつ民家間取型に表われた地域的特性を明らかにしようとした.
民家母屋内部の平面構造(間取)は,居住部分のヘヤ割リ,ヘヤの機能(室名,イロリ),土間の機能.(ウマヤ)に分解した.
(1) 居住部分は全国的に田字型の四間取りが最も普遍的で,その他に東北・北陸の広間型との関連が考えられる広間的間取・妻入型・土間狭小型・二棟造(南九州・南西諸島)・変型(クド造リ・つのや)の6タイプが区分され,その巨視的な分布圏が判明した.
(2) 同一室名の分布を探ることによつて文化圏や伝播径路を把握することも可能である.本稿では特徴ある2~3例を示す.また名称の変化を通して農村生活の変化過程を考察することも出来る.イロリは山陰から中国山地に卓越するが,大部分の地域では小規模火鉢的機能であり,東北日本ほどの重要性はない.
(3) ウチマヤは減少の傾向にあるが,分布が牧牛地域と一致し,経済生活を反映した型であること,山間農村では生活機能が母屋の中に集積する特徴がある.
(4) 間取型の分析による地域性の把握は家屋自身多くの要素の集積されたものであり,本稿では巨視的考察の段階である.

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