地理学評論
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秋田県花輪盆地および大館盆地の地形発達史
内藤 博夫
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1970 年 43 巻 10 号 p. 594-606

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抄録

秋田県北部の花輪盆地と大館盆地の地形発達史を考察し,次のような結果を得た(第四紀末の火山砕屑物については省略).
花輪盆地:鮮新世の中頃ないしそれ以降に,それまで山地であった盆地域が陥没して堆積地域となった.陥没は東縁と西縁を断層で切られた北に開く襖状ブロックの南への傾動による.更新世の中~後期に入ってから隆起に転じ,盆地堆積物の堆積面は段丘化した.盆地南部は隆起の速さがより大きく,新しい段丘の発達がよい.
大館盆地:盆地内での堆積の進行に先立って,盆地域は隆起の速さが周辺より小さかったため,河川の侵蝕が進み,小起伏化した.その後陥没して堆積地域となったが,その時期は鷹巣盆地の湯車層(下部更新統)の下部よりも新しい.陥没は東縁と南西縁を断層で切られた北に開く襖状ブロックの南への傾動による.現在まだ沈降を続けている.
両盆地ともその形成に与った運動はよく似ており周辺の地質構造を反映しているが,時期的にはつれている.

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