地理学評論
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ソウルにおける結節地域の構造とその特性
日々人口流動からみた場合
南 榮佑
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1981 年 54 巻 11 号 p. 637-659

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抄録

本稿は,ソウルにおける日々人口流動を分析指標として取り上げ,その結節地域の構造を把握し,結節地域を通じてソウルの地域構造を解明しようと試みたものである.パーソントリップのOD行列に,クラスター分析を適用して結節地域を設定し,さらに各結節地域の特性を探るために,地域特性を表わす諸変数に対して因子分析を行なった.また,交通目的別の流動パターンを分析して,地区別の発生・吸収流動の類型化を試みた.その結果, 1. 互いに近接する地域間では流動パターンの完結性がみられ,その近接効果 (neighbourhood inHuence) は,ソウルの周辺部よりも中央部ほど大きい. 2. 17の結節地域が認められる.その境界は自然的障害や行政区域界にかなりの部分で一致しており,各階層の中心地は階層の高低によって一定の間隔を保持している. 3. それぞれの結節地域は,さまざまな土地利用と社会・経済的活動をもち,目的トリップを異にする複合的空間から成り立ち,これらの部分地域は互いに補完的性格をもっている.また,等質性を有する地域では,同種の目的をもつトリップが卓越し,結節地域と等質地域の間にはかなり緊密な関係のあることが明らかになった.

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