地理学評論
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甲府盆地西縁・南縁の活断層
澤 祥
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1981 年 54 巻 9 号 p. 473-492

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抄録

筆者は,新期断層変位地形の明瞭な甲府盆地西縁・南縁の活断層調査を行ない,当地域の地殻変動の特徴を考察した.活断層は,後背山地と平行するN-S方向とNE-SW方向の二つに大別され,山地側が隆起する縦ずれ変位が卓越し,横ずれ変位は認められない.これらの活断層は,台地・丘陵と盆地床あるいは山地との境界で,新旧の扇状地性地形面を変位させている.台地・丘陵と盆地床の境界では,新期断層変位が特に明瞭で,構造的膨み・逆傾斜地形・撓曲変位が顕著である.このことから盆地西縁・南縁を限る活断層は,低角度の逆断層と推定され,これらはA級~B級の活動度を示す・新期断層変位は盆地内に数km張り出した部分において特に顕著で,これは池田・米倉 (1979) の逆断層の折れ曲がりによる低角化と関連した現象と解釈される.しかし,西縁の市之瀬台地では,山麓側の断層運動が現在も活発で,上記のモデルとは別の変位様式が考えられた.

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