地理学評論
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わが国における大農家の地域的分布
坂本 英夫
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1982 年 55 巻 1 号 p. 37-50

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抄録

わが国における大面積農家の数は少数とはいえ,増加傾向にあり,小面積農家の数は減少傾向にある.大面積農家は北関東・新潟県以北の北日本,および九州の一部に多い.大面積農家の創出は,北海道では農家総数の減少と農地開発の面から急激に進行しているが,東北地方では農地開発の側面だけから起こっている.北日本および九州(の一部)での農業は比較的大面積の経営耕地を必要としているが,その割には収入が比例的に増加しない.しかし,農業らしい農業が行なわれている.上記の地域(外帯と仮称)を除く都府県を内帯と仮称したが,内帯では経営耕地面積の大きい農家は稀少である.内帯では農家の平均経営耕地面積はわずかに増えたが,大都市圏ではますます狭小化の傾向にある.内帯の農家は,集約的な土地利用を行ない,小経営の割に高額の粗収入をあげている.二つの地域型は,日本農業の全体像を認識するのに有効と考えられる.

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