地理学評論
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東京都市圏における空間的相互作用モデルの距離パラメータの地域的分析
伊藤 悟
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1982 年 55 巻 10 号 p. 673-689

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抄録

従来の理論的研究は,空間的相互作用モデルの距離パラメータを規定する要因として,行動・配置・空間的自己相関の3要素を提唱している.そこで本研究は,東京都市圏における距離パラメータの地域パターンとその差異の要因を分析し,行動・配置の両要素を実証的に考察した.活用したモデルは発生制約型のエントロピー最大化モデルである.このモデルを自動車交通流動に当てはめ,東京都市圏内87地区の距離パラメータを,改良Hyman法により推定した.その結果,抽出された地域パターンでは,都市圏の中心部から周縁部へ向かい,距離パラメータが増加し,このパターンは行動要素に深く影響されたものであることが明らかになった.そこで,この行動要素を地区の具体的属性に求めた結果,それは運輸通信・サービス・卸売・公務の各産業特化度および高速道路網への近接性であることが判明した.

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