地理学評論
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日本における最終間氷期以降の更新世海成段丘の形成期—降起速度に基づいた年代推定—
三好 眞澄
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1983 年 56 巻 12 号 p. 819-834

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抄録

日本の下末吉面(S面)まり下位の更新世海成段丘(上位からI面,II面と呼ぶ)は,南関東や喜界島を除いて,ほとんど放射年代資料がなく,主にその相対的位置関係に基づいて形成年代が推定されている.一方,段丘の形成期が赦射年代測定資料によって明らかになっているニューギニア,バルバドス,ニューヘブリデスにおいて,125KA段丘の高度と100KA・80KA・60KA段丘の高度との関係をみると, Y100=0.82 X-14,Y80=0.63X-15, Y60=0.44X-19の回帰式が得られた.これらは,それぞれ高い正の直線的相関関係を示し,傾きは二つの段丘の年代比と一致する.したがって,上述の3地域では125KA段丘形成以降,地盤の平均的等速隆起が成立すると考えられる.
そこで,筆者は地盤の等速隆起の仮定のもとでは,時代の異なる二つの段丘の高度比は年代比を示すものと考え,奥尻島,佐渡島など日本の15地域において,この方法を用いて形成期が明らかでないI,II面の年代を推定することを試みた.その結果,S面とI面ではYI=0.69X-6, S面とII面ではYII=0.47X-7の回帰式が得られ,それぞれS面高度と高い正の直線的相関関係を示した.そして,両式の傾きは,年代既知の地域の80KA段丘,60 KA段丘の場合の関係式のそれとよく一致する.したがって,I面は80KA,II面は60KAの氷河性海面変動による相対的高海面期に形成されたと推定され,それぞれ南関東の小原台面,三崎面に対比される.なお,100KA段丘は本方法では認められなかった.

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