地理学評論 Ser. A
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海岸平野にみられる浜堤列と完新世後期の海水準微変動
松本 秀明
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1984 年 57 巻 10 号 p. 720-738

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抄録

本論は東北地方の5地域の海岸平野を例に,そこに形成されている浜堤列の成因と形成時期を明らかにするものである.
沖積層の露頭観察,堆積物の粒度分析をもとに,過去6,000年間における旧汀線位置・高度の連続的な変化を復元した.その結果,現在を含めて4回の極大をもつ旧汀線高度の上下変動が認められ,これに伴い沖積上部砂層上面に風成・浅海底砂からなる波状の起伏が生じ,その凸部が地表で浜堤列として認められていることが明らかになった.従来,浜堤列は3列に大別されることが多かったが,本論では地表面下に埋没している浜堤列の存在も認められ,各浜堤列形成時の海水準高度は,仙台平野中部地区において,それぞれ+1m, -1.5m, -1m, ±0m (現在)である.
各海岸平野において個別に求められた浜堤列の形成時期には明らかな同時性が認められ,各列の形成時期は,内陸側から5,000~4,500年前, 3,300~3,000年前, 2,600~1,700年前および800年前~現在であることが明らかになった.

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