地理学評論 Ser. A
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鈴鹿山脈東麓地域の変位地形と第四紀地殻変動
太田 陽子寒川 旭
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1984 年 57 巻 4 号 p. 237-262

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抄録

鈴鹿山脈東麓地域の活断層と地形との関係を調査し,活断層の変位様式,変位時期,変位速度などに関する知見を得,活断層のタイプを分類した.本地域の活断層は,西の一志断層系と東の桑名・四日市断層系とに大別される.前者はI-1からI-8の,後者はK-1からK-3のセグメントにわかれる.いずれもほぼ南北方向に走る西上りの逆断層で,第四紀における東西圧縮の場で形成されたものである.活断層は,その変位時期にもとづいて,第四紀断層 (Qf, 第四紀の前半まで活動したことは確かであるが,それ以降の活動の証拠がないもの)と,狭義の活断層 (Af, 段丘面を変形させており,第四紀後半の活動が確実なもの)とにわかれる.山麓を限る一志断層の大部分はQfにあたり,山地と平野との分化を生じさせたが,第四紀後半の活動は小さい. Afは,さらに位置・変位様式にもとついて以下の四つに細分される. Af1: Qfの延長上にあるもの, Af2: Qfより約2km東側に位置するもの, Af3: Af2よりさらに海岸側に位置するもの, Af4: Af2およびAf3の背後にあるもの.第四紀後半に最も活動的であったものは,一志断層そのものではなくて,その東側のAf2およびAf3で,前者は新旧の段丘間の地形境界を,後者は段丘と海岸低地との地形境界を形成した.これらの断層の活動度はB級で最大1,000年に0.6m以上の平均変位速度をもち,変位の累積性が認められる. Af4は, Af2, Af3の副断層として生じた短いもので,活動度は小さくC級であり,一般に逆むき低断層崖をなす.主要な活断層Af2, Af3に沿っては,変位地形はおもに撓曲崖の形態をとるが,これは断層面が低角であることと,段丘の基盤をなす岩石が厚い未固結の奄芸層群であることによると考えられる.

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