1984 年 57 巻 5 号 p. 329-348
冬季季節風下における中部日本周辺の雲分布について,地形が原因で生じる気象票素分布の特徴によって受ける影響(地形効果)を考察した.その結果,地形効果は, 800~850mbの風がほぼ西から吹く場合と,ほぼ北西から吹く場合の,二つに集約して説明される.前者の場合,地形性の高山高気圧が閉曲線に囲まれた形で解析されず,日本海側の帯状雲は福井平野から金沢平野にかけて分布し,太平洋側の雲バンドは冷気の吹き出しによって発生する.後者の場合,中部山岳の風上に高山高気圧が閉曲線に囲まれた形で発生する.敦賀には低気圧が解析され,この低気圧の位置に日本海の帯状雲がかかる.太平洋側でも,中部山岳の風下に四日市低気圧や三宅島低気圧が発生し,これらを伴う風の不連続線に沿って雲バンドが発生する.