地理学評論 Ser. A
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奥羽脊梁山脈と福島盆地の分化に関する断層モデル
渡辺 満久
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1985 年 58 巻 1 号 p. 1-18

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抄録

東北日本弧の脊梁山脈とその東の盆地群との間には,活断層地形が認められることが多い.本稿では,このような山地と盆地の境界部にある活断層の活動と山地と盆地の分化との関係を考察した.研究対象地域には,福島盆地とその周辺を選んだ.
福島盆地は,その西縁を逆断層で限られる盆地で,その西方の奥羽山脈上の浸蝕平坦面の高度分布,約2万年前に形成された扇状地面の分布,活断層の特徴,および盆地の地下構造から,北半部の伊達盆地,南半部の信夫盆地に区分できる.
半無限の弾性体に対するくい違いの理論に基づき,当地域の地形・地質構造に適合する断層モデルを求めた.このモデルでは,低角の主断層面が福島盆地西縁から奥羽脊梁山脈の下へ連続しているが,その一部からより高角の逆断層面が派生している.伊達盆地は,低角で地表に達している逆断層の活動によって奥羽脊梁山脈と分化したと考えられる.一方,信夫盆地では二次的で高角の逆断層が地表に達しているものの,地下に潜在する低角の主断層の活動によって,奥羽脊梁山脈との分化がもたらされたと考えられる.

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