1986 年 59 巻 10 号 p. 606-624
若狭湾周辺地域において見出された冬型降水分布の時間的変化の規則性を,上層寒気の移動から要約して記述した. 3時間降水量分布図から分類された四つの降水分布型は, 850mb面付近の風の違いに対応して現われ,多降水域は日本海沿岸の地上風収束域の風下側付近に位置する。降水分布型は規則的な時間変化を示し,上層寒気の西方から東方への移動に伴って, 850mb面付近の風向も西から北西へと変化するために,多降水域は若狭湾岸北部から,東部,さらに西部へと移動する.また,若狭湾岸西部は周辺地域と降水条件が異なり,上層寒気の著しい南下による多降水期間には降水が少なく,寒気が北偏し,850mb面付近の風が北北西から吹くとき局地的に多降水となる.