地理学評論 Ser. A
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大雪山南部・トムラウシ山周辺の溶岩台地上における高山植物群落の立地条件
水野 一晴
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1986 年 59 巻 8 号 p. 449-469

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抄録

大雪山南部・トムラウシ山周辺の溶岩台地上に見られる高山植物群落の分布は,大局的には消雪時期の違いと対応づけることができる.消雪時期が特に早い (6月中旬以前)場所と遅い (7月~9月)場所では,消雪時期の違いにより立地する群落が異なっている.消雪時期が中程度(6月上旬~7月中旬)の場所では,同時期に消雪しても場所によって異なった群落が分布しており,土壌と水分条件など,他の条件が群落立地の重要な要因であると考えられる.いわゆる「お花畑」として広く分布している広葉草原(Alpine meadOw)は,特定な条件が他の植物群落と比較して,特に多く(強く)あるいは少なく(弱く)なることのない中庸な環境条件をもつ緩斜面を占めている.

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