地理学評論 Ser. A
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北上山地山稜部の荒廃裸地における凍結・融解による斜面物質移動
澤口 晋一
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1987 年 60 巻 12 号 p. 795-813

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抄録

北上山地山稜部にみられる荒廃裸地において,凍結・融解による斜面物質の移動に関する調査と野外実験を実施した.その結果,秋~冬季にかけての凍結進行期には霜柱クリープとフロストクリープが卓越し,春季の融解進行期にはジェリフラクションが優勢となることがわかった.凍結進行期における全測線の平均物質移動距離は15.7cm,一方融解進行期のそれは5.1cmで,前者は後者の約3倍大きい.さらに,気温・地温の推移と物質移動プロセスの様式変化との特徴から,凍結進行期は日周期的な霜柱クリープの卓越する前期と,霜柱状氷層の形成にともなって生じるフロストクリープの卓越する後期とに細分される.前期における斜面物質の平均移動距離は11cm,後期では3.5cmである.融解進行期は前・中・後期に細分されるが,中期には霜柱の形成頻度が減少し,代わってジェリフラクションによる移動が卓越する.前期および後期には霜柱クリープによる移動が生じるが,移動距離は中期の1/3程度にとどまる.また,霜柱クリープとフロストクリープによる移動は斜面傾斜と極めて密接な関係をもつ.

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