先進資本主義国の都市群システムにおいては,企業の組織・活動の空間的構造が重要な構成要素となっている.本研究では,わが国の主要な74都市を対象として,企業の事業所網(本所一支所)の展開からみた都市群システムを分析した.
その結果,東京を主とする3大都市企業や広域中心都市企業の事業所網の展開によって国家的・地方的都市群システムが形成されており,その空間的形態には,3大都市圏・周辺圏・地方圏という3地帯構造と3大都市・広域中心都市・県庁所在地都市という都市の階層構造が明瞭に現われていた.
さらに企業の全国的展開では,3大都市に企業組織の頂点をなす本所が,中位階層をなす広域中心都市には広域的地方を管理・管轄する組織が,県庁所在地都市やさらに下位階層の地域には現業・生産部門が進出し,企業組織の空間的分化が階層構造をなして進行しており,それがわが国の都市・地域の階層形成の主たる要因となっている.