地理学評論 Ser. A
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中国山地東部における後期更新世の山地堆積地形とその形成環境
田中 眞吾野村 亮太郎
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1992 年 65 巻 2 号 p. 180-194

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抄録

中国山地東部の山頂・山麓にみられる堆積性地形の特徴,形成プロセス,形成年代および形成環境について検討した.これらの地域には,山麓部に麓屑面,山頂部には岩塊流と平滑斜面があり,その中間にはロックフォールテーラスが分布する.これらの地形の形成年代は,おもにテフラの降下年代からみて,麓屑面のII面・岩塊流・平滑斜面・ロックフォールテーラスが最終氷期中,I面がそれ以前の形成であることが明らかとなった.地形の性状,堆積物の層相・構造,形成年代から,上述の地形はそれぞれ寒冷な気候環境下の周氷河作用により形成されたと考えられる.本地域は最終氷期後半に寒冷で乾燥した気候状態におかれ,周氷河作用に基づく地形の形成されやすい環境が存在していたと考えられる.

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