地理学評論 Ser. A
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河床縦断面形に対する岩石物性の影響
花崗岩渓流と古生層渓流について
田中 幸哉恩田 裕一安形 康
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66 巻 (1993) 4 号 p. 203-216

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抄録

花崗岩渓流では,滝が連続し縦断面形は階段状になるのに対し,古生層渓流では,滝がなく縦断面形は平滑になる.本稿では,この河床縦断面形の違いと岩石物性の違いとの関係について検討を行なった.岩石物性測定の結果,シュミットロックハンマーによる反発値,供試体による圧縮強度および引張強度では,古生層の値が,花南岩の値よりも大きい.また溶出,乾湿風化といった風化に対する抵抗性には差が認められない.したがって縦断面形の違いは,これら基岩の性質の違いに起因するものではない.現場および実験室において測定した縦波速度を用いて,岩相ごとに岩盤強度を求めた.その結果,花崗岩では新鮮な基岩と比較して,破砕帯や節理といった弱線の岩盤強度はきわめて小さな値を示した.また古生層では,弱線である層理面と交わる方向の岩盤強度が小さい.花崗岩では弱線が数~数十m間隔で分布しているのに対し,古生層では数~十数cm間隔で,密に分布している.ゆえに花崗岩渓流では,河床に対する侵食速度の差が周期的に現われ,それが結果的に階段状の河床縦断面形を生じることになるが,古生層では河床全体にわたって,一様に侵食が生じると考えられるので,そのため縦断面形は平滑になる.

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