地理学評論 Ser. A
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完新世におけるサロベツ原野の泥炭地の形成と古環境変化
大平 明夫
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1995 年 68 巻 10 号 p. 695-712

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抄録

大規模な泥炭地がひろがる北海道北部のサロベツ原野において,完新世における古環境変化を・ボーリング資・試料の解析結果,加速器質量分析法による14C年代測定結果・珪藻分析・FeS2含有量分析結果などに基づいて検討した.その結果,特徴的な変化として,約4,500~4,000年前に広い範囲で泥炭地の形成が進行したこと,約3,000~2,000年前に河川氾濫の活発化と砂丘の固定化が起こったことが確認された.これらの現象には,海面低下に伴う基準面の低下と気候の湿潤・冷涼化がそれぞれ影響していると推定され,サロベツ原野の泥炭地の形成・変動には,とくに完新世後半における海面変化と気候変化が大きく作用していることが明らかとなった,本研究で認められた完新世後半の環境変化は,北海道の臨海沖積低地においても共通性が認められる.

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